昔話  兵(つわもの)の掘る穴ー真実その5ー

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"グロー・ブバルディア"事、グロリオーサ・サンフラワーが領主の賓客としてロブロウに迎え入れられてから、数日、余所者には色々と煩い土地柄ではあった筈なのですが、グロリオーサ・サンフラワーのカリスマと、執事のロックにはけんもほろろだった愛嬌は、2日という時間で、十分に領主ピーン・ビネガーの賓客を受け入れる事に成功させていました。 またどうやら、この豪快で豪胆な賓客は、方向音痴だという事も判明し、もともと複雑な造りであるのですが、古い領主の館でグロリオーサ・サンフラワーはよく迷ってしまいます。 そんな時は、とりあえず迷ったら目印にしている屋敷の中庭にある噴水へと出ている姿を、執事が発見し保護しては、貴賓室に案内していました。 その迷子の延長で地下牢に捕らえてある賊とグロリオーサ・サンフラワーが遭遇した時、たった1人の刀を持った、"鬼みたいに強い奴"が賓客であることも判明します。 グロリオーサ・サンフラワーの姿を視界に確認した途端に、大いに怯えていたと見張りをしていた領民から報告が領主ピーン・ビネガーの元に報告に来ていました。 何をしたんだ?と領主が尋ねれば、ちょっと大木を、という返事が、ロブロウで迷子になるよりはと、料理人のマーサに頼み込んで手伝わせて貰っている、さやえんどうのヘタを少し折り、筋を引っ張って取るという作業の間から返ってきます。 少しばかり危惧していたのは、結束すると最近では特に扱い難い4人の娘達でしたが、そこはピーンの杞憂に終わりそうでした。 男女の距離感に関して色々と煩い、ロブロウの土地柄も今回は幸いし、ピーンの娘達がグロリオーサに対して興味を抱きはしますが、娘の誰一人としても尋ねては行きません。 興味があるので、母に尋ねても黙って微笑み話を逸らし、少し威勢のいい娘は、執事に尋ねるも、執事(ロック)は、ピーンを悩ますようになった娘達には冷たく微笑むだけでした。 そこで、唯一グロリオーサと口を効いてもおかしくはない、兄であり弟であるバンを娘達は仕向けます。 しかし、それはピーンも見越していた事でもあるので、尋ねられてもグロリオーサに口裏を合わせて貰った「息抜き先の場所で、助けてもらった」を決まり文句として言って貰ってやり過ごす手筈は整っていました。 ただ直接グロリオーサと口を聞いた長男は、それとなく察してはいたのは伺えます。
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