昔話  兵(つわもの)の掘る穴ー真実その6ー

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ロックが露骨に不満を表情に出し、客人との仲が砕けすぎている仕事仲間を擁護するような発言をする、客人グロリオーサに言葉を返します。 たが物事を深く考えない人物は、執事は単に"遠慮"しているぐらいにしか考えておらず、また更に笑いながら返事をしていました。 『元々、まだ田舎の教会でトレニアが「グロリオーサだと小さい子どもが覚えにくいから」って考えてくれたのが、"グロー"だったからな。 俺的には、トレニアが考えてくれた"グロー"って名前が大好きだから、俺が呼ばれるのが嬉しいから、マーサがそう呼ぶ事を許してくれないか?』 頬に朱色を自然に浮かばせて、鬼神とも呼ばれる存在は破顔を浮かべれば、それまでキビキビと動いていた、副竈番の手が少しだけ止まり、震えたのに、ピーンだけが気がつきます。 『グロリオーサ、貴方はロック君が言っていることを聞いていないんですか?屋敷の中の規律がしっかりしないと、家事の指揮を取る、執事であるロック君が困ると言っているんですよ』 今度はアングレカムが軽く説教するように、執事の立場であるロックを用語しつつグロリオーサに意見を述べました。 『そうか、ロック君の立場もあるんだもんなぁ……。マーサ、どうする?俺は、マーサがしたいようにしてもらってかまわないんだが』 『……大好きな方の"グロー"で良いんじゃないかい?大切な人が考えてくれた、名前なんだろう?』 何時もの威勢の良さがなくなった変わりに、不思議と声は落ち着いていたものになってはいましたが、やはりマーサは偽名の方を支持します。 (2人して"朴念仁"だとは、グロリオーサが言っていたものなぁ) 『なあ、マーサ。紅茶を淹れ終わったのなら提案があるんだ。昼も過ぎたばかりで、夕食の支度には少し早いかもしれないが折角だ。お客様の仲間と再会された事だし、お前がこの前考えた料理を作ってくれないか』 ピーンは自慢の副竈番の方を見ず、客人の防具を整備をしながら、思い付いたようにして口を挟み、夕食を振る舞おうという、領主の言葉にアングレカムがソーサにカップを音をたてて置きました。 『領主殿、気を使わなくても結構です。厚顔無恥なことですが、防具を整備してもらったのならトレニアや――、待っている仲間もいるんので御暇(おいとま)させて頂きますので』
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