昔話  兵(つわもの)の掘る穴ー真実その7ー

14/52
6098人が本棚に入れています
本棚に追加
/452ページ
"賢者"でもあるという、ピーンの浮かべる笑みが、ようやく不敵なものから穏やかなものだと、アングレカムは思うことが出来るようになりました。 自分の人生は周りや、家族すら"不遇"だと聞こえるように囁かれても、考えまいとしていた、多感な少年時代となります。 明るい友人達にも恵まれて、更に人目を盗んでは自分の仕事を手伝ってくれていました。 "有り難い"と思いながらも、そんな優しい友人達にすら"自由な時間"があるのに自分には無いことを恨み、僻み、妬みそうになった時期があります。 友人達は自分の自由な時間を使って、自分を手助けをしてくれるのに、賢い少年は年齢は同じなのにどうして、こう自分は農業の仕事に追われて、自由な時間がない事に気がついて、苛立ちました。 そしてアングレカムが成長して労働力が上がるほど、それに上乗せするように仕事の量も増えていきます。 勿論、"親友"達もそれに伴って、成長し影ながら手伝うことも子供の頃の比にならぬほど巧くなっていきました。 そうやって確保をしてももらえる大好きな本を読む時間が、嬉しくもあったが今度はその事を少しばかり惨めに考え始め時、そんな負のジレンマに落ち込みそうになった時に優しい親友が紹介してくれた、"助けてくれた"人は、年齢不詳で、いつのまにか自分達の村に隠栖していたという賢者となります。 『私は本を枕にして寝てしまいたいくらい好きなんだ。君も凄く本が好きそうだから、上手に"時間を作って"本と付き合っていけば良いよ』 そんな言葉と共に、アングレカムに、本当に"時間の作り方"を教えて、何よりもまず"時間"を作ってくれてみせました。 親に"この子は労力としても役に立つだろうが、それに合わせて魔術も使えたなら、パドリック農場の役に立つ"と手紙を書いてくれ、渡すようにも告げられました。 更に後押しするように、隠栖をしているという立場のはずなのに、わざわざ家にやって来て、親を説得してくれます。 説得の後は、親は"賢者殿が素養があると仰ってくれるのなら"、とあっさり時間をアングレカムに与えてくれました。 賢者は、アングレカム・パドリックに必要になりそうな"智恵"を選りすぐり、適した知識を惜しみ無く与えてくれます。 そして、これはグロリオーサには伏せられていることだが、"金"でアングレカムを王族の自分の従者として"譲って欲しい"と言われた時、実は両親は賢者に相談していました。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!