昔話  兵(つわもの)の掘る穴ー真実その7ー

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アングレカムには、ピーンにしてみたら穏やかに微笑んでいるものが、まだ不適に微笑んでいるように見える中で更に考えます。 (多分この方は、グロリオーサが世間話をした以上の情報を、持っている) 先程、"情報が入ってくる"と言っていたのは、恐らくは領主を勤める貴族間の情報網みたいな物があるのだろう、とアングレカムは考えていました。 しかし、情報網があるとは言っても、で今でこそ国に知らないものを探す方が困難な決起軍(レジスタンス)の面子ではありますが、元は国の端にある田舎の村から始まります。 そして神父バロータが仲間に加わり、"銃の兄弟ジュリアン・ザヘト"が、面子から抜ける事になった出来事から、決起軍(レジスタンス)の活動は"4人"と縮小していました。 元々大きな組織を作るつもりもありませんでした、本当に信頼できる者、"強い者"だけで構成しなければ、また話に聞いただけだが、バロータ神父の村であったような"悲劇"がまた起きてしまうことを危惧します。 それを危惧したアングレカムは、グロリオーサと話し合って小隊にぐらいになりそうだった"決起軍(レジスタンス)"を、解体しました。 そしてそれからの活動は本当に4人の"少数精鋭"で行われ、"決起軍の名前"は知れ渡っていても、グロリオーサ、アングレカム、トレニア、バロータの詳細な情報は世間には回らなくなっています。 (その筈なのに……?) 先程のバルサム話に始まり、裏の内情まで知っているようなピーンの口振りは、アングレカムに本当の意味で戸惑いを与えていました。 ただ、戸惑いを与えられながらも、このように自分達の気持ちや行動を見透かされたような経験、を何処かで感じた記憶もあります。 『しかし、領主殿は私の策を"稚拙"と仰っている』 "記憶"を中を探しながら、アングレカムはロブロウ領主の真意を探りました。 『そうだな。"賢者"としては、"平定後"の事を優先しがちになってしまっている参謀には、ここは稚拙と言わねばならないところではある。 しかし、決起軍としての活動を推し進めながら、その後の事を考えているのは、為政者としては素晴らしいものだと言っている』 『……貴方は、賢者だというのですか?』 貶されて誉められた事等、どうでも良くなりますが、感覚の記憶の方ははっきりしています。 『まあ、"賢者"としては新参者の方だがな』
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