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アングレカムには、ピーンにしてみたら穏やかに微笑んでいるものが、まだ不適に微笑んでいるように見える中で更に考えます。
(多分この方は、グロリオーサが世間話をした以上の情報を、持っている)
先程、"情報が入ってくる"と言っていたのは、恐らくは領主を勤める貴族間の情報網みたいな物があるのだろう、とアングレカムは考えていました。
しかし、情報網があるとは言っても、それだけで今でこそ国に知らないものを探す方が困難な決起軍の面子ではありますが、元は国の端にある田舎の村から始まります。
そして神父バロータが仲間に加わり、"銃の兄弟ジュリアン・ザヘト"が、面子から抜ける事になった出来事から、決起軍の活動は"4人"と縮小していました。
元々大きな組織を作るつもりもありませんでした、本当に信頼できる者、"強い者"だけで構成しなければ、また話に聞いただけだが、バロータ神父の村であったような"悲劇"がまた起きてしまうことを危惧します。
それを危惧したアングレカムは、グロリオーサと話し合って小隊にぐらいになりそうだった"決起軍"を、解体しました。
そしてそれからの活動は本当に4人の"少数精鋭"で行われ、"決起軍の名前"は知れ渡っていても、グロリオーサ、アングレカム、トレニア、バロータの詳細な情報は世間には回らなくなっています。
(その筈なのに……?)
先程のバルサム話に始まり、裏の内情まで知っているようなピーンの口振りは、アングレカムに本当の意味で戸惑いを与えていました。
ただ、戸惑いを与えられながらも、このように自分達の気持ちや行動を見透かされたような経験、似たような感覚を何処かで感じた記憶もあります。
『しかし、領主殿は私の策を"稚拙"と仰っている』
"記憶"を中を探しながら、アングレカムはロブロウ領主の真意を探りました。
『そうだな。"賢者"としては、"平定後"の事を優先しがちになってしまっている参謀には、ここは稚拙と言わねばならないところではある。
しかし、決起軍としての活動を推し進めながら、その後の事を考えているのは、為政者としては素晴らしいものだと言っている』
『……貴方は、賢者だというのですか?』
貶されて誉められた事等、どうでも良くなりますが、感覚の記憶の方ははっきりしています。
『まあ、"賢者"としては新参者の方だがな』
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