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恐らくアングレカムは、ロックがグロリオーサに対して"悪い感情"を抱いているなんて事は、露程にも考えてはいません。
"世話がやける賓客"ぐらいの考えをグロリオーサに対してはロックが持っているぐらいがは考え及びもするのですが、まさか一刻も早くロブロウから立ち去って欲しいとまで考えているとは、思ってもいません。
それは"グロリオーサ"という人物が、アングレカムが知っている限りでも、敵対しない限りは今まで誰からにめ"疎まれたり憎まれたり"した所を1度も見たことがない言う背景もあります。
(……ロック君?何か、不都合な事でもありましたか?)
"グロリオーサを厭う人がいる"という考えがそもそもないアングレカムは、執事の青年の顔には出さないが、露骨に狼狽える雰囲気に、眉を潜めました。
(どうしよう)
ロックは自分が、堪えて我慢すれば良いことは、重々わかっています。
しかし、グロリオーサと2人きりになって行動する上で、何が自分の中にある燻りの嫉妬を、炎となるぐらいに燃え上がらせるかが、本当に分かりません。
そして雰囲気だけでもロックが困っている様子を、グロリオーサという人物にしては珍しく察して、今度は彼が口を開いていました。
『……俺がマーサの片付け手伝うから、ロック君は修繕道具に片付けたらいい。晩飯、食うにしても食わないにしても、マーサの料理は旨いからさ、教えて欲しいんだ。
帰りを待っているトレニアやバロータ神父にも、美味しい料理を作ってやりたいし、楽しかった事を話してやりたいんだ』
グロリオーサのそこまで言った時には、アングレカムが盛大に眉を潜め"無神経!"といった具合に親友を睨み、グロリオーサの話を聞いてマーサが再び軽くぎこちない動きとなっています。
(うーん、これは困った。俗に言う"三竦み"という状況なのかな、これは)
ピーン・ビネガーは"困った"と思いながらも、この状況に上がった口の端を隠す為に思わず手で抑え、目元は笑みの形を作りそうなのを必死に堪えました。
白髪の頭の中で、状況の整理を簡単にします。
ピーンがまず、客人とガッツリ話したいから(本音でもありますが)夕食の準備を含めてマーサに気を使って、退出を促しました。
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