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人込みの中での大胆過ぎる執行にも関わらず、辺りの通行人がそれに気付く頃には銀黎はもう既に姿を消している為、誰も何がどうなったのかわからない。
ただわかっている事は、行き交う人込みの中で一人の男が堂々と殺されたという事実のみだった。
銀黎はミッションの終了を無線で皆に伝えると、すぐにアジトへと帰還した。
今回のミッションに参加したのは月神銀黎と霞狂平、そして是紅炉朱の三人だった。
「今回も見事だったねぇ…月神銀黎」
「そりゃどうも…」
アジトで三人を待ち構えていたのは、今回と昼のどちらのミッションにも参加していなかった唯一の男で、黒い華最後の一人"大道寺獅子丸"だった。
この男は、黒い華のリーダー的存在で司令塔でもあり、名の通りライオンのようなボサボサ長髪がトレードマークの凄腕の男だった。
獅子丸は豪快な笑みを浮かべながら銀黎を誉めた直後、
「是紅炉朱ゥっ!!」
「…!!」
突然野獣の咆哮のような叫びで是紅炉朱の名を呼び、不意に銀黎は全身をビクッとさせる。
「"破壊"を楽しむのは大いに結構……だが、一般人を巻き込んだ上にターゲットを逃すとは何事だァ!!」
その雄叫びにも似た説教は、凄まじ過ぎる迫力だった。
それに対し是紅炉朱は何も言えず、舌打ちしながら顔を背ける。
するとそこへ、
「戻りました」
別のミッションへと赴いていた虎次郎、凍治、要も帰還してきた。
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