63人が本棚に入れています
本棚に追加
この世には"悪魔"と呼ばれる者は実在する。
しかし、それを認知する人間は意外にも少ない。
姿見えぬ故にその存在を伝説として祭り上げ、敬い、憧れ、恐れ、そしてその実在を信じない。
それが"悪魔"だった。
時は遡り、人間が地上を支配するよりも遥か昔、悪魔は当時地上を支配していたという恐竜を皆殺しにして喰らい尽くし、直後に地上を支配し始めた。
しかし、誤って一族は氷点下の氷の中へ閉じ込められてしまい、そのまま深い深い眠りに着いてしまった。
それから時は幾千幾万とながれ、時代は昭和初期、悪魔は永い永い眠りから目を覚ました。
かつて自身らが支配していた地上世界は完全に人間に乗っ取られており、それにより悪魔は夥しい憤りの感情を抱き、いつか恐竜を滅ぼした時のようにその全てを喰らい尽くして皆殺しを企むが、その数はあまりにも多過ぎた。
数に敵わないと悟った悪魔は、ただただ機を伺いながら水面下でソッと息を潜めていた。
悪魔は身を潜めながら、邪悪な灯火を持つ人間を好んで喰らい、それを自身の魔力の糧としていた。
そうして何十年も時間を掛け、少しづつ着実に力を蓄えていった。
その中で、そんな窮屈さに耐えきれず逃げ出す同胞が後を絶え無かった。
そんな"裏切り者"に制裁をすべく立ち上げられた掟が、"裏切りには死を"というもの。
しかし、それでも裏切り者は後を絶えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!