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紅牙は咄嗟に翳した刀でそれを受け止めると、
「ギアを外したのか…!」
斉木の身体はみるみる内に膨れ上がり、いつの間にか全身が夥しい筋肉質になっており、肌色は緑色に染まり、両目が二つ繋がっていた。
その姿は、人間が想像上の中で描いた"サイクロプス"に酷似していた。
斉木は、その凄まじ過ぎる剛力で、紅牙が翳した刀毎紅牙を力一杯殴り飛ばした。
それにより紅牙は背後へ大きく飛ばされるが、すぐに体勢を立て直す。
一方で斉木は、
「ぐはははははっ、失せろ貧弱共ォ!」
「…」
近くにいた人間達を、手当たり次第に惨殺し始めた。
ある者は頭を握り潰され、ある者は胴が二つに割れ、ある者は全身を引き千切られ、まさに地獄絵図のようだった。
そんな斉木に向け、紅牙はゆっくりと刀の切っ先を向けると、
「貴様の罪…己が血で洗い流せ!!」
「…!!」
一瞬にして斉木の懐にまで踏み込み、勢いよく刀を振るった。
しかし、斉木の肉体はまるで鉄のように硬く、紅牙の刀を弾き返される。
「無駄だ無駄だァ!!!」
「ギアを外されると、このままじゃ流石に厄介だな」
紅牙が言う"ギア"とは、"リミッター・ギア"の略称だった。
悪魔が人間の姿を借りる為、または強過ぎる魔力を抑え込む為、魔力にリミットを掛ける物だった。
斉木はそのギアを外し、本来の魔力を解放したのだった。
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