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是紅炉朱の無惨な姿を横目に見た後、紅牙と哲心が狼騎を連れて何処かへと行ってしまうのを、虎次郎はただただ見送る事しか出来ず、歯痒さを感じていた。
「…くそ…くそっ!!」
それから十数分後、悪魔の姿も消えて気配も感じなくなる頃、
「虎次郎、無事か!」
「……」
そこへ凍治と狂平が駆け付け、倒れたままの虎次郎の安否を確認する。
それにより虎次郎はゆっくりと立ち上がり、
「勝てない……!」
珍しく弱気だった。
そして虎次郎が、是紅炉朱の変わり果てた姿の方に目を向け、同時に二人は言葉を無くす。
「嘘だろ…!」
要も、同じく悪魔との死合で深傷を負うも何とか生還したが、是紅炉朱はなすがままだった。
一方で虎次郎も、魔力を解放した狼騎にはまるで歯が立たなかった。
虎次郎にとっては生涯二度目となるこの大敗に、深く絶望を抱いていた。
一方で、帰路で哲心の肩の上で目を覚ました狼騎は、
「…ここは…?」
「お、起きたか」
久々にギアを外して暴走していた事で、まだ意識がボーッとしていた。
虎次郎が狼騎含む悪魔の絶対的な力の差に絶望している一方で、実は狼騎も似たような感情だった。
「人間を甘く見過ぎてた……ギアを外してなかったら死んでたかもしれねぇ」
「そうか…」
リミッター・ギアとは、悪魔にとっては必要不可欠のものだった。
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