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ギアを無くした悪魔は、人の姿を保つ事が出来ずに本来のおぞましい姿を晒し、者に寄ってはその絶大な魔力を抑え込む事が出来ずに暴走する。
中でも狼騎は、今は滅んでしまった三大高等悪魔の内一つの一族の末裔であり、その魔力はやはり絶大で自我さえ保てない程暴走してしまう。
因みに残り二つの一族ももう既に滅んでおり、その末裔が紅牙と哲心だった。
「人間……次会ったらぶっ殺してやる」
紅牙は、哲心の肩の上で狼騎が目を覚ましたのを確認すると、
「それじゃ哲心、後は頼んだ」
「ん、何処行くんだ?」
手をヒラヒラと振って何処かへと行ってしまった。
「ちょっと用事」
「そうか用事か、それは大変だ」
そんな紅牙の適当な返答にも、哲心は鵜呑みにしてしまう。
その一方で、深く傷付いた虎次郎を連れ、凍治と狂平がアジトへ戻ってくると、
「やれやれ、お前もか虎次郎…」
そこで待っていた獅子丸は、深刻そうな表情を浮かべながら"ある物"を手渡した。
「要に続き、虎次郎……黒い華の主力をこれ以上失う訳にはいかんのでな」
「……」
最初に虎次郎はそれを受け取ると、すぐにコレが何なのかを尋ねた。
「奴らが"リミッター・ギア"を外し、手に追えなくなった時はソレを使え。その…"オーバーロード・ギア"をな」
「……!」
その名称から明らかに怪しいソレを手に、虎次郎は苦い表情を浮かべる事しか出来なかった。
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