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突然の看板落下と大爆発で辺りはまた大パニックとなっており、ちょっとした暴動さえ起こっていた。
銀黎は人込みは避けて建物の屋根上に移動し、そこから冷静に辺りを見回す。
そしてそこで目に入ったのは、
「是紅炉朱、あいつまた…」
同じく屋根上から辺りを見回しながら悪い笑みを浮かべている、一人の男の姿だった。
銀黎はすぐにそこへ駆け寄ると、
「おい是紅炉朱!」
「あぁ?」
その男の肩をド突き、怒りを露にする。
「一般人が巻き込まれているに加え、ターゲットを逃がしている。どういう事だ!」
しかしそれに対し、その是紅炉朱(ぜくろす)と呼ばれた男はまるで悪びれた様子を見せず、
「あれだけ派手にぶちかましゃ殺れると思ったんだがな、はは」
「お前!!」
その返答により、銀黎はまた更に怒りを露にする。
実はこの是紅炉朱も黒い華の一員で、爆殺を主としている。
額に巻いた手拭いと口に加えられた着火用の線香がトレードマークで、腰の回りには大量の火薬が装備されている。
「勘違いすんな小僧、俺の目的は"破壊"だ。それが楽しめりゃターゲットだろうが通りすがりの雑魚だろうが関係ねぇんだよ」
「…!!」
銀黎は、これ以上是紅炉朱と話しても無駄と悟り、もう一度肩をド突いて先を急いだ。
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