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木につく手前で私は足を止めた 風に揺れる蒼色に近い黒髪 乱れ過ぎていない ちょうどいい感じに着崩された制服 そして独特の雰囲気の『彼』 右足をたて腕をたらして 寝ている姿がさらに『彼』 の雰囲気をかっこよく見せていた ――足が動かなかった。 寝ていてもかっこよく思える 『彼』に声をかけるのは 気が引けたが遅刻寸前だったので やむを得ず彼に向かって 無理矢理足を動かした そして『彼』の横にしゃがみ 軽くトントンっと肩を叩いた するとさっきまで 閉じられていて見えなかった 灰色の瞳が私をとらえた 私の体の奥底にある何かが 締め付けられる そんな感じがした。 .
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