第1章 1彼女

3/8
前へ
/10ページ
次へ
「優月!遅刻するぞ?」 彼女は振り返るなり「隆吾くん!乗せて」と言ってきた。 このままだと遅刻してしまうので仕方なく乗せる。 校門から少し離れたところで下せば、教師に気づかれることもないだろうと考えた。 「隆吾くんなんでいるの?朝練は?」 「今日はなかったんだ」 そういうと珍しいね、と笑った。 彼女の笑顔を見れないことが残念に感じた。 が、仕方のないことだ。 腰に回された彼女の手。 「優月はどんくさいから、落ちそうで怖い!…から離すなよ」 そんな風に言うと彼女は腕の力を入れて、「どんくさくないんだから~」 とまた笑った。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加