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恋の話によると、昨日の夜1人の男が見るも無惨な姿で殺されたらしい
被害者の名前は鬼原三郎
霊や怪奇現象等は実現しないと豪語していた評論家だ
現場は自宅の書斎でテレビを観ながらビールを飲んでいたらしい
テーブルやカーペットにはいくつかビール缶が転がっていたという
そして鬼原の死体もカーペットに転がったビール缶のようにあったようだ
死体はバラバラのグチャグチャで原形をとどめておらず、書斎は血の海と肉片だらけ
第一発見者である鬼原の妻はその光景を見たショックで精神病院に搬送された
警察は人間の犯行として調査している他に、恋達暗鬼にも妖怪側の調査の協力要請を出してきた……らしい
「んで?分かったのか?」
「要請を出してきたのは今日の朝ッス いくら諜報活動に長けてても、そんな早くはさすがに無理ッス」
使えん奴め
「とりあえず私以外の暗鬼は何人か既に調査に出掛けたッス 妖怪の中にも人間を良く思ってない輩もいるッスからね……」
そこで恋は少し悲しい顔を浮かべる
恋は人間が好きだ
暗鬼一族の古株達の中にはまだ人間をあまり好きでない者がいるが、恋のように人間が好きな者が大半を締めている
故にこのような事件に妖怪が絡んでいる事に悲しくなるのは当たり前なのだ
「半妖のオレが言うのもなんだけど、今回はこっち側が黒だと思うな」
いくら人間でも誰にも気付かれずに原形をとどめない程にグチャグチャにするのは無理だ
それこそどっかのジェイソンみたいにチェーンソーで殺るならバカでも音で気付く
だが発見者である鬼原の妻は鬼原が殺されてから数時間後に遺体を発見している
この事から犯人は人成らざる者と予測できる
妖怪ならその妖術とかで人間を簡単に、一瞬でバラバラのグチャグチャにできる
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