第01話 妖(アヤカシ)

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キーンコーンカーンコーン 「おはよー」 「おはよう」 「ねぇ昨日のテレビ観た?」 「残念 宿題やってて観てないよ」 爽やかなそよ風が吹き抜ける5月のある日の朝 ここ『雛神町』はいつもの穏やかさが町を優しく包み込んでいる 元気よく自分の学校に通う生徒達 ゴミ置き場で世間話するお母さん達 挨拶を交わすサラリーマンの人とお年寄り 何もかもいつも通り そう、このいつも通りがオレは好きだ 「や、やっべー!!!」 ……今日に限っていつもと違うオレの朝の光景 普段通りなら周りの生徒と同じペースで学校に行くが、今日は残念ながら違う 「な、なんで今日に限って寝坊するんだよ!あー時間ない!!」 バタバタと学ランを着ながらリビングに駆け込む こんなに急いでいる訳はというと、今日はオレが所属している美化委員会の朝の清掃があるのだ それで開始は6時30分 今の時刻は6時20分 家から学校まで約20分 完全に遅刻フラグビンビンな訳です 「朝から喧しいねぇあんたは」 こっちがバタバタしている時にリビングに目を擦りながら1人の女性が入ってきた 「しょうがないだろ母ちゃん 寝坊しちまったんだからよぉ!」 「そんなの寝坊した自分が悪いだろ」 「うっ……」 間違った事は何1つ言ってないので言い返せません 「とりあえず早く行きな 余計遅れるだろ」 母ちゃんは頭をガシガシとかきながらタバコに火をつけて一服 コラコラ タバコはいかんぞい我が母よ 「分かってるよー!行ってきまーす!」 「いってらー」 母ちゃんの見送りには目もくれず玄関から飛び出す そしてそのまま車庫にある自転車に又借り猛スピードで学校へと向かう 「うおぉぉぉぉぉぉ!!間に合えぇぇぇぇぇ!!!」 朝から見苦しくて申し訳ありません
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