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「またお前かい しつこいぞ!」
バッ!と迫り来る少女に向かってオレはポケットからある物を出す
「そ、それは!?く、くっせぇぇぇ!!」
あと2mちょっとという所で少女は鼻を押さえながらその場をのたうち回った
それにしても女の子が地面をのたうち回る光景ってシュールだね
「て、てめぇ桜井!危うく鼻がもげるとこだっただろうが!」
オレが出したある物
それはある種の妖怪に効果のあるお札だ
そう、この少女もさっきの垢嘗と同じ妖怪なのだ
「知るかバカ 朝っぱらから不吉な事を言う喰麗が悪い」
「うっせー!犬神なめんなよ!?お前なんざオレの牙で───」
「滅!」
「だ、だからそれだけはやめろー!!」
このうるさい女は喰麗
動物系妖怪『犬神』という種類の女の子だ
ちなみに犬神とは大昔に生まれた犬を使う呪殺の方法の一種だ
だからこの喰麗も犬みたいに牙や爪で攻撃したり、呪いを使って相手を殺す事もできる
そしてオレがさっき使ったお札は犬系等の鼻がいい妖怪に効果を発揮するのだ
「ていうかよ 半分妖怪のくせして人間の道具使ってんなよ」
「うっ……仕方ないだろ 力が出ないんだから」
そう、オレは半妖だ
実は母ちゃんは妖怪、父ちゃんは陰陽師というちょっと変わった家系
でも今一緒に住んでる母ちゃんは本当の母ちゃんじゃない
オレの本当の母ちゃんはオレが5歳の時に今の母ちゃん……つまり母ちゃんの親友に預けてどこかへ行ってしまった
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