“契約”

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案内するゆかりのあとに付いていく。 といっても、それほど長い距離を歩くわけではなかった。 2階の一番奥の部屋。 確かに分かりやすい。 「この部屋だね。」 先程までと打って変わって、ゆかりの口調は普段人と話すであろうそれに変化している。 混乱も取れたのだろう。 「一番奥だから、覚えやすいでしょ?  えっと、なにか訊きたい事ある?」 寮生活について、ということだろうが、空は美鶴とゆかりが説明しなかったあの子供について訊いてみた。 「あの子供も寮生?」 「…誰のこと?ちょっと、やめてよ、そういうの…」 ゆかりに嘘をいっているような感じはない。 どうやら何も知らないようだ。 空が考えていると、ゆかりから声がかかる。 「あの…ちょっと訊きたいんだけど。  …駅からここまで来る間、ずっと平気だったの?」 何やら意味深な発言だ。 あの異様な雰囲気の世界のことを言っているのだろうが、あの誰もいない世界に危険などあるのかと空は思った。
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