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4月7日――
閉じたカーテンの隙間から太陽の光が漏れる。
同時に、鳥の声が朝だということを知らせる。
空はゆっくりと上体を起こした。
不意に足音が近づいてくる。
コンコン
「岳羽ですけど、起きてますかー?」
ゆかりが起こしに来てくれたようだ。
空はベッドから降り、ドアを開けた。
「おはよう、眠れた?」
「おはよう。おかげさまでグッスリと」
「フフッ、それは良かった。あのね、先輩に案内しろって頼まれちゃって。もう出られる?」
朝の挨拶を交わし、会話をした。
しかし、起きて早々学校に出かけるとは、いささか早すぎるように思う。
だが、案内してくれるというのでそんなことは言えず、黙ってゆかりに従った。
「ちょっと待って。顔洗って着替えるから」
「オッケー。下のラウンジにいるから、準備できたら下りてきてね」
そういってゆかりは行ってしまった。
足音が遠ざかる。
今日も忙しなくなりそうだ…
空は春の足音が聞こえる日差しの中、まだ冷たさを感じる水を顔に浴びながらそう思った。
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