“心の仮面”

2/28
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
4月7日―― 閉じたカーテンの隙間から太陽の光が漏れる。 同時に、鳥の声が朝だということを知らせる。 空はゆっくりと上体を起こした。 不意に足音が近づいてくる。 コンコン 「岳羽ですけど、起きてますかー?」 ゆかりが起こしに来てくれたようだ。 空はベッドから降り、ドアを開けた。 「おはよう、眠れた?」 「おはよう。おかげさまでグッスリと」 「フフッ、それは良かった。あのね、先輩に案内しろって頼まれちゃって。もう出られる?」 朝の挨拶を交わし、会話をした。 しかし、起きて早々学校に出かけるとは、いささか早すぎるように思う。 だが、案内してくれるというのでそんなことは言えず、黙ってゆかりに従った。 「ちょっと待って。顔洗って着替えるから」 「オッケー。下のラウンジにいるから、準備できたら下りてきてね」 そういってゆかりは行ってしまった。 足音が遠ざかる。 今日も忙しなくなりそうだ… 空は春の足音が聞こえる日差しの中、まだ冷たさを感じる水を顔に浴びながらそう思った。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!