“心の仮面”

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ガラガラ… ありきたりな擬音をたてながらドアを開いた。 「失礼します。転入してきた…」 「あっ、転入生くんね。こっち来て」 まだしゃべっている途中に女性教師に話しかけられた。いち早く事情を察してくれた事に感謝しつつ、空はその教師のもとへ近づいた。 「“緋山 空”ね…2年生で間違いないわよね…」 女性教師は手元の書類をペラペラとめくっている。そこに生徒の情報が詳しく載っているのであろう。 「ふうん…結構、転々としてきてんのねぇ…」 「えぇ、まぁ。両親がいないものですから」 女性教師はそのまま読み進める。事前に読んでいなかったらしい。 ふと、女性教師の目がある所で止まる。 「えー、ご両親は、10年前の…あッ… ごめん、バタバタしてて、詳しく読んでなくてさ…」 「いえ、構いませんよ。えと…」 「あぁ、私は国語科主任の鳥海です。よろしくね」 「はい、よろしくお願いします!」 「おっと、元気ビンビンねー」 鳥海先生は空の返事に機嫌がよさそうに返した。 「クラス分け、もう見た?君は私の担任する“F組”よ。でも、このあとすぐ始業式だから、先に講堂ね。案内するわ。ついてきて」 そういって席を立ちあがった鳥海先生はそのまま職員室を出て行った。 空は急いで鳥海先生の後を追いかけた。
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