27人が本棚に入れています
本棚に追加
ホームルームも終わり、初めての放課後を迎えた。
どうしようかと考えていた空に、気の良さそうな声がかけられた。
「よっ、転校生!」
振り向くと、声の通り気の良さそうな男子生徒がそこにいた。
「なぁんだよ、そんなマジビックリした顔すんなって!」
その男子生徒は人当たりの良さそうな笑みを浮かべてそう言った。
空は突然話しかけられ、多少驚いていたが、すぐに表情を戻した。
「…誰?」
「ん、俺か?俺は伊織順平。ジュンペーでいいぜ。じつは俺も、中2ん時に転校でココきてさ。転校生って色々と一人じゃわかんねぇじゃん?俺が最初に声かけなきゃなってな。ヘヘッ、イイ奴だろ?」
自画自賛な順平という少年。
そしていつの間に現れたのか、その順平を哀れんだ目で見つめるゆかり。
「…」
「お、ゆかりッチじゃん!またおんなじクラスになれちゃうとは思わなかったぜ」
未だに呆れ続けているゆかりに向かって、そんなことお構いなしに喜んでいる順平。
「まったく、相変わらずだねぇ…。誰彼かまわず、馴れ馴れしくしてさ。ちょっとは相手のメーワクとか考えた方がいいよ?」
「な、なんだよ。ただ親切にしてるだけだって」
順平があくまで自分は正しいと主張する。しかし、ゆかりは相手にする気はないようだ。
「ふうん、ならいいんだけど」
ゆかりは空へ向きなおる。
最初のコメントを投稿しよう!