27人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんか…偶然だよね。同じクラスになるなんてさ…」
「そうだね」
「うん、驚いた…」
「おいおい、俺だって同じクラスだぜ?なんか扱い違わねーか!?」
すっかり除け者にされていた順平が空とゆかりの間に割って入る。
「てか、実際訊きたいことあんだけどさ。お二人さん、仲良く一緒に登校したんだってぇ?詳しく聞かせてくれよー」
にやにやしながら順平が尋ねる。
「えっ、ちょっと、やめてよ!彼とはたまたま寮が一緒ってだけ。何でもそういう話に結び付けすぎだっての」
ゆかりは心底順平を見下すような目でキッパリとそう答えた。
確かに、それが事実なのだが…
「てか、そもそもウワサになるの早すぎ…。不安だな…そういうの」
学生というのはそういうものである。
誰彼関わらず、恋愛というものに興味があるものだ。
しかし、あらぬ噂を立てられる方にしたら、はた迷惑なことこの上ないだろう。
特に、ゆかりは年頃の女の子だ。
好きでもない男との色話を立てられたとあっては、収まりがつかないのだろう。
「…ちょっと、いい?」
ゆかりが制服の袖をつかんで聞いてきた。
そういう態度が誤解を招くと思うのだが…
ゆかりは気にせず話を進める。
「あの事とか…言ってないよね?」
小さな声でゆかりが尋ねてきた。
これ聞かれたらまた誤解を生むなと思いながら、空は答えた。
「昨日の夜の事か?それなら言ってないよ」
「なら、いいけど。そのこと、ホント言わないでよ…?」
ゆかりが念入りに聞いてくる。
「分かってる。」
ふと、視線が突き刺さる。
最初のコメントを投稿しよう!