27人が本棚に入れています
本棚に追加
「…」
「な、なに?」
視線は順平のものだった。
どうやら話を全部聞かれていたようだ。
空は危機感を覚え、説明すべく口を開こうとしたが、遅かった。
「き、昨日の夜って…え?」
やっぱり、誤解されていたか、と空は肩を落とした。
順平は明らかに人の話を聞かないタイプだ。
説明するだけ無駄だろうが、ゆかりはそのままでは納得いかない。
「ちょっ…なんか誤解してない?とにかく!彼とは昨日会ったばっかで、ホントなんでもないの!まったくもう…」
無理やり自分で話を終わらせた。
しかし、依然順平はニヤニヤした顔のままだった。
「…じゃ、私は弓道部の用事あるから行くけど、変なウワサ広めないでよ…?」
そういってゆかりはやれやれといった感じで教室から出て行った。
空も、未だに一人で騒いでいる順平を一瞥し、視線で勘違いだということを主張した。
その視線を受けた順平はそのまま固まり、空の有無を言わせない視線に恐怖を覚えた。
それを確認した空はそのまま帰路についた。
最初のコメントを投稿しよう!