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その後、寮内ラウンジ…
美鶴が一人で読書をしているところに、赤いベストを着た少年が上階から降りてきたようだ。
「ちょっと、出てくる」
「…ん?」
赤いベストの少年が美鶴に向かって言う。
「気付いているか? このところの新聞記事」
「…ああ。それまでふつうだった者が、ある日を境に、急に口も聞けない程の無気力症に陥る…。最近、流行りらしいな」
「嫌なブームもあったもんだな」
「記事ではストレス性という事で片付けられているが…」
「そんな訳あるか、絶対”ヤツら”の仕業だ。……でなきゃ面白くない」
少年は軽い微笑みを浮かべながらそうつぶやいた。
それに対して美鶴は呆れ気味に答えた。
「相変わらずだな…。一人で大丈夫か?」
「なに、心配ない。トレーニングのついでだ」
そう言って赤いベストの少年は勢いよく寮を飛び出ていった。
「まったく、明彦のやつ…。遊びじゃないんだぞ…」
そうつぶやいて美鶴はまた読書を再開した。
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