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4月8日――
昨日と同じようにモノレールに乗り、学校へと到着した。
昨日と違うことがあるとすれば、ゆかりがいないことだけだ。
ふと話し声が聞こえる。
「ねぇ、聞いた…? あの噂」
「あー、アレでしょ? トイレの…何だっけ?」
「古ッ! ちーがーくーて! 1年の、ナントカさんって子の話!」
その言い方では1年みんなに当てはまるのではないかと空は疑問を感じた。
「それじゃ1年の誰かわかんないじゃん」
同じことを思っていたようだ。
空は思わず少し微笑みをこぼした。
「そんなことはどーでもいいのよ。それよりその子、学校来なくなっちゃってね、家でずーっと壁に向かってるんだって。で、お母さんが声を掛けたらね、”来る…来る…”ってつぶやくんだってー!」
「ふーん」
話を聞いていた女子生徒はさも興味なさげに気のこもっていない相槌を打った。
「…信じてないでしょ」
キーンコーン……
話をしていた女子生徒が疑惑の目を向けた時、ちょうど予鈴が鳴った。
学校の敷地が必要以上に大きいため、このままでは遅刻するかもしれないと感じた生徒たちが足を速めだした。
空もその生徒たちに混じって足早に教室へと向かった。
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