27人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後――
今日の授業がすべて終わった。
用事もないので寮に帰ろうと荷物をまとめて席を立つと、教室のドアで順平とゆかりが話しているのが見えた。
「現代文の時間、空ひどくなかったか?」
「あれはあんたが先生の話聞いてなかったのが悪いでしょ。自業自得よ、自業自得」
どうやら今日のいたずらについて順平が文句を言っているようだ。
空は二人に近づいた。
「よお、間違い王」
「お前が言ってんじゃねー! あの先生ヒステリー入ってるんだから勘弁してくれよ」
冗談じゃないといった感じで順平はため息をつく。
「あ、緋山くん、お疲れさま。 …だいたい、あんたが寝なかったら済んだ話でしょーが! 人のせいばっかにしてんじゃないの」
「う…悪かったよ!」
「分かればよろしい。じゃ、私もう帰るね」
そう言ってゆかりは教室を出て行った。
残ったのは空と順平。
「それじゃ、俺は帰るけど、順平は?」
口を開いたのは空だった。
「お、俺はまだ用事があるからな」
そうか、と言って空は教室のドアをくぐって帰路についた。
最初のコメントを投稿しよう!