“契約”

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人通りのない都市部を抜け、目的地に到着した。 月光館学園 巌戸台分寮… ここが少年の入学案内に書かれていた寮だ。 少年は玄関前の小さな階段をのぼり、玄関のドアを開けた。 深夜にも関わらず、幸いにも鍵は開いていた。 入口で立ち尽くす少年に、幼い子供の声がかけられる。 「ようこそ。」 声がした方を見ると、そこには横縞のTシャツを着た見知らぬ少年が立っていた。 「遅かったね。  長い間、君を待っていたよ。」 そういった彼の手には、1枚のカードがはさまれている。 「この先へ進むなら、ここに署名をして。  一応、“契約”だからね。怖がらなくていいよ。」 そういってその子供は少年に署名を促す。 「ここからは、自分の決めた事に責任を取ってもらうってだけだから。」 少年は差し出されたカードを眺めた。 そこにはメッセージが書かれている。 “我、自ら選び取りし、いかなる結末も受け入れん” そして、署名の欄がある。 少年は、いままで幾度となく書いてきてもはや手になじんでいるであろう自分の名前を、署名欄に記入した。 “緋山 空”
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