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「ひやま そら…
いい名前だね。確かに。
時は、誰にでも結末を運んでくるよ。たとえ、目と耳を塞いでいてもね。
…さぁ、始まるよ。」
そういって見知らぬ子供は闇に溶けるように消えていった。
「…誰!?」
今度は少女の声がした。
声色から察するに、警戒心を抱いているようだ。
無理もない。見知らぬ人物が寮内にいるのだから。
空は声のした方に顔を向けた。
そこには制服姿に淡い茶色の髪で、首にハートのチョーカーをしている少女が立っていた。
しかし、声をかけてきた張本人は、ひどく驚いた様子だ。
「この時間に…どうして…
まさか…」
少し俯いて思考していた少女だったが、なにかを思い立ったらしく、銃のようなものを手にしてこちらを睨めつけている。
そこへまたしても別の声が響く。
「待て!」
奥から長く紅い髪をした、もうひとりの少女よりどこか大人びた印象の少女がでてきた。
それと同時に寮内の照明が点灯し、辺りが明るくなる。
「あかりが…」
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