その1:受験の手助け。

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あの日、雪が降ってたのを覚えている。 寒いのが苦手な僕が9才の誕生日を 迎えた日、大好きな隣のおばさんに 赤ちゃんが生まれた。 それを聞いたのは翌日、お母さんに 頼んでおばさんが好きだって言ってた プリンを持って病院に行くとおばさんの 横のちっちゃなベッドが置かれていた。 「ねぇ、手握っていい?」 「いいわよ」 「奏、優しくするのよ?」 「それぐらい分かってるもん」 僕よりもずっとちっちゃい赤ちゃんの 頭の近く、ベッドの枠に名前がある。 「橋岡由樹君~お兄ちゃんだよ~」 白い服に綺麗な布団に包まれて、 目を細めてキャッキャ笑っている。 僕より小さい手は指を力強く握り、 ブンブン振り回し、まるでこちらこそと 言ってくれてるみたい。 「よし!!由樹は必ず僕が幸せにする!!」 始めて出来た弟。あまりにも嬉しくて 幸せ宣言をしたら親達は笑って、 「良かったね、由樹」 「奏にちゃんと勤まるのかしら?」 「任せてよ!!」 その時は、なんでそんなに笑うのか 分からなかったけど、一人っ子の僕に 友達ができたのは間違えなく、それから 2年後、おばさんに2人目の赤ちゃん、 美幸が生まれて3人で仲良く遊び、 一緒に育っていった。
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