33人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日、雪が降ってたのを覚えている。
寒いのが苦手な僕が9才の誕生日を
迎えた日、大好きな隣のおばさんに
赤ちゃんが生まれた。
それを聞いたのは翌日、お母さんに
頼んでおばさんが好きだって言ってた
プリンを持って病院に行くとおばさんの
横のちっちゃなベッドが置かれていた。
「ねぇ、手握っていい?」
「いいわよ」
「奏、優しくするのよ?」
「それぐらい分かってるもん」
僕よりもずっとちっちゃい赤ちゃんの
頭の近く、ベッドの枠に名前がある。
「橋岡由樹君~お兄ちゃんだよ~」
白い服に綺麗な布団に包まれて、
目を細めてキャッキャ笑っている。
僕より小さい手は指を力強く握り、
ブンブン振り回し、まるでこちらこそと
言ってくれてるみたい。
「よし!!由樹は必ず僕が幸せにする!!」
始めて出来た弟。あまりにも嬉しくて
幸せ宣言をしたら親達は笑って、
「良かったね、由樹」
「奏にちゃんと勤まるのかしら?」
「任せてよ!!」
その時は、なんでそんなに笑うのか
分からなかったけど、一人っ子の僕に
友達ができたのは間違えなく、それから
2年後、おばさんに2人目の赤ちゃん、
美幸が生まれて3人で仲良く遊び、
一緒に育っていった。
最初のコメントを投稿しよう!