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あれから15年の月日が流れ、
今日で24歳回目の誕生日を迎えた。
こっちに越してきた友達にご飯に誘われ、
二次会と言う名目でカラオケに行き、
夜の7時を回った頃に家路に着く。
『にいに、誕生日おめでとう!!』
パパパパーン
誰も居ないと気を抜いていた俺を出迎えた
クラッカー音。幸な事に間抜けな声こそ
出なかったが、内心は心臓がバクバク。
「来るなら来るで事前に連絡しやがれ!!」
「したよ?ここの家の留守電に」
由樹は電話があるであろう書斎を指差す
が、
こんな時は携帯に掛けるものだ!!と言わん
ばかりに携帯をポケットから出し見せつけた。
「これは何だ」
「携帯!!」
「そうだ、携帯だ。
普通の人ならばこっちに電話するぞ」
美幸は首を傾げて俺の携帯を取り、
あっちこっちのボタンを押すが
画面に光が灯る事はない。
「やっぱり、これ、電源切れてる」
俺は焦り、奪うように取りボタンを
押しまくったが全然点かない。
次第にクスクス笑いだした2人を横目に
理不尽にも感じれたこの状況で俺から
謝った。
「ごめん……充電するの忘れてた……」
「電源入れたらビックリするかもね」
「何故?」
「僕からも美幸からも留守電になる度に
切ってはかけ直してたから」
……。
ある意味、電源が落ちたのはこの2人の
せいなんじゃ……。
「まぁ、過ぎ去った事は置いといて、
早くご飯食べよう」
由樹に背を押されるようにリビングへ。
テーブルにはケーキやらご馳走やらが
並べられているが、焼き肉を食べすぎた
俺の腹は告げている。何も食べたくないと。
「もぅ~にいにの帰りが遅いから料理が
冷めちゃったから暖め直すね」
その料理のボリュームに若干吐きそうに
なるが、この状況の可笑しさに気づき
思わず叫んでしまった。
「お前ら……どうやってここに上がり
込んだ!!」
「えっ?これ、おばさんがくれた」
キッチンカウンターから身を乗り出し、
2人揃って部屋の合鍵を見せてきた。
(あのばばぁ……何勝手な事を……)
俺の怒りを知らない2人はいまだに
好き勝手台所を使って楽しそうにして
やがる。本当に幼馴染みとは恐ろしい。
遠慮の範囲は全くなく、高校卒業後に
借りたマンションには既に彼らの物で
溢れている。多少なら許したが、
服やら化粧品やらを大量の段ボールを
持ち込まれては女性を家にあげれない。
鋭い人ならば絶対に勘違いしそうだし、
そんなものに一々否定するのもめんどい。
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