prologue

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ふとペンを持つ力を緩めた。 思っていたより、手に力を込めていたみたいで、うっすら汗も滲んでいた。 なにやってんだろ。 どうせ、届かない手紙なんて。 「アホらしー」 ぐっと伸びをして、あくびをした。 机に放置したままの、書きかけた手紙を見る。 ふと、彼と、昔の記憶を思い出して胸が苦しくなった。 散り始めた桜と、明るめの茶色い髪をなびかせる君。 優しい微笑みと、「晴ちゃん」ってよぶ優しい声。
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