誤解

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この会社に再入社して、そろそろ半年が経とうとしていた。 専務がまるで故意にそうしてるんじゃないかって思うほど、梨花と俺の運行は丸っきり逆のままだ。 季節はすっかり寒くなって、今年の運行もあと1便。 帰って来たら会社の忘年会が待っている。 俺が梨花と近づけるのはその日しかない。 一晩で俺のものにしてやる…。 俺は抑えきれない胸の高まりに必死に耐えていた。 今年最終便の大阪から戻って会社に帰ると、ハシゴを立てかけて、トラックを洗車している梨花の姿があった。 俺はトラックを梨花のトラックと並べて止めると、ゆっくり運転席から降り、梨花へ近づいて行った。 「お疲れさん」 「あ、お疲れ様です。もう仕事収めですか?」 にこやかに微笑みながら言う梨花が眩しくて、目を細めた。 「水島さん、ホントに仕事頑張ってるよね」 「えへ…そうでもないですよ」 「いやいや…ホント感心するよ」 「褒めたって何も出ませんよ」 まずは世間話で梨花になじんで行く。 半年も一緒に働いてるのに、いまだに俺に敬語を使う所を見ると、相当警戒心が強い女なんだろうと感じる。 「…頑張りすぎると疲れるよ。 たまには自分に優しくしてあげたら?」 俺がそっと梨花に語りかけると、それまでゴシゴシとトラックをこすっていたスポンジが止まる。 …ほら… こういうちょっと優しい言葉に女はグラグラする。 所詮梨花も女だ。 俺は梨花と視線を交わらせて、優しく微笑んだ。
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