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「河村さんこそ、そんな無理して疲れませんか?」
梨花の言葉に予想が外れて俺は戸惑った。
きっと少しモジモジしながら俺を見て
「大丈夫ですよ」
とか
「そんなことないです」
とか、
否定して来るのがこういう女のはずだ。
思っていた反応と全く逆を突かれて俺は、焦っていた。
「…え?…どうしてそう思うの?」
「…うふふ…だって河村さん、いつもなんか壁作って、人を寄せ付けないから。
寂しくないのかなぁって思ってましたよ?」
悪女的な笑顔で俺の心に踏み込んで来る梨花の言葉に俺はますます戸惑う。
再びトラックをこすり始めた梨花の細くてきれいな手を見つめながら俺は聞いた。
「…そういうふうに見える俺?」
「はい、見えます。」
「水島さんがそう言うんじゃそうかもしれないね」
俺の中にズカズカと踏み込んで来る梨花をどう攻略していいか解らなくなって、俺は梨花の言葉を冷たく突き放し事務所に向かった。
まだドキドキしてる俺の心臓。
やっぱりあの女は俺のペースを狂わせる。
だけど…今夜は何が何でもあの女を落としてやる。
俺は心に固く誓って夜を待った。
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