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「…梨花…待って」
絞り出すように吐き出した名前に自分で言いながらも動揺する。
ピクっと揺れた梨花の肩がそのまま梨花の足を止めた。
背中を向けたままの梨花に俺は言葉を投げつけた。
「…今の意味…わかんねぇ」
「…………」
「それって…どういう意味?」
「…………」
「何でお前が俺抱きしめるの?」
クルリと振り向いて、とびきりの笑顔で梨花が言った。
「同志だって思ったからです」
梨花の言葉の意味がまだ俺には理解出来ない…。
「意味わかんね」
「解らなくていいです」
「俺が可哀想って事?」
ピクっと再び揺れた梨花の肩が小さく白い息を吐き出す。
「救ってあげたいって思ったから」
はらはらと舞い落ちる雪の中に怪しく輝く白い花。
そのあまりの美しさに、俺の心が、激しく鼓動する。
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