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「…じゃ私そろそろ部屋に戻りますね。
河村さんも早く戻らないと風邪引きますよ」
ニッコリ笑って梨花が旅館へと戻って行く姿に俺は最後の抵抗をした。
「…なぁ梨花、お前、俺と付き合ってみないか?」
「…………」
「本当にお互い、誰も愛せないのか…確かめてみないか?」
再び振り向いた梨花がニコっと笑った。
「河村さんが傷ついてもいいなら…いいですよ」
梨花の意外な返事に俺は戸惑った。
「え?ホントにいいの?」
「…いいですよ。でも…河村さんに私の気持ち、動かせるかな?
それが出来なかったら、河村さんはすごく傷つくかもしれませんよ」
…なんだよその変な自信…。
「…そういうお前だって俺を惚れさせる事出来るのか?」
クスっと笑って梨花が言った。
「だって河村さんはもう私の事、好きって顔に書いてあるもん」
俺は呆然とした。
…は?…俺が?…梨花を好き?
「…だから言ったんです。
う・そ・つ・きって」
…やっぱこの女、めちゃめちゃに壊してやりたい。
俺は立ち上がって、梨花の所まで歩いて行くと、腕を掴んでそのまま俺の胸に閉じ込めた。
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