愛するということ

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俺は腕の中に包み込んだ梨花の香りに完全に溺れている自分に気づいていた。 …そう、俺はとっくに梨花に恋してる。 「…あとで、お前の部屋行っていいか?」 「…いいですよ」 怪しい笑顔で俺を誘う梨花に、もう感情が抑えられなくなっている自分が滑稽で思わず笑ってしまう。 「先に部屋に戻れ。 俺は後から戻るから」 そう言って梨花を解放してやった。 旅館へと戻って行く梨花の後ろ姿を見つめながら、俺はタバコに火をつけた。 深く息とタバコの煙を吸い込みながら、舞い落ちる雪を眺める。 …梨花も…きっと俺に恋してる。 俺は今夜、梨花を抱こう。 精一杯の愛情を持って…。 アイツも自分の気持ちに気づかせてやりたい。 本当は人を愛する事が出来る人間だという事を… 俺は何事もなかったかのように一度部屋へと戻った。 すっかり梨花に潰されて熟睡している近藤を確認してから、部屋を出て そのまま曲がり角にある梨花の個室のドアを叩く。 「…俺」 「…はい」 ドアを開ける梨花の姿が、やっぱり美しすぎて俺は高鳴る胸の鼓動が抑えられない。 梨花の部屋に入って、とりあえず入れてもらったお茶を飲む。
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