愛するということ

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「…お前さ…俺に抱かれてもいいと思ってる?」 「…河村さんがそうしたいなら」 「でもお前は俺の事、好きって訳じゃないんだろ?」 「…良く解らないです」 「…じゃ抱かれて確かめてみる?」 「…………」 戸惑う梨花が、ますます愛おしい。 梨花はこの半年間、俺という人間をそっと見つめて来たんだろう。 自分と同じ匂いのする俺という人間を。 それが恋に変わっている事に気づかないまま… 俺もこの半年間、俺なりに梨花という女を真剣に見つめて来た。 木村と別れた時のこいつの気持ちを考えたら、 今後、好きでも何でもない男に抱かれるような女じゃない事が俺には痛いくらい解っている。 …お前…ホントは自分でも気づいてるんじゃないのか? だけど…さっきまでの俺と一緒で、その気持ちを認めてしまうのが怖いんだろう…。 弱さを認めてしまいそうで… 自分の脆さに気づいてしまいそうで… 俺がずっと思い続けた言葉 『世界は俺を中心に回ってる』 それは自分の弱さを認めたくなくて、自分に言い聞かせて来た呪文だ。 だけど今俺の目の前でモジモジしてる梨花を見つめて俺は思う。 俺にとって梨花は運命の女であり 梨花にとっての俺は運命の男なんだと。 俺がお前に教えてやる…。 世界は俺とお前を引き合わせるために回って来たんだと…。 俺は、梨花の腕をそっと引き寄せた。
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