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―2―
私の目の前には、白いものがいた。
それは透明のような、不透明のような、白いのに透けて見えるそれは少し浮遊しながら進んでいく。
私はちょうどそれと同じ方向に目的があるので、後ろから見つめるようにして歩く。
足を持たないその物体には感情がないのだろうか。全く精気を感じない。
すると、それに気づかず歩いてくる一人の男性がそれと接触した。
しかし、確かに接触したように見えたが、いや、確かに接触したのだが、それも、ぶつかると思われた男性も、全く意にも返さずただ真っ直ぐすり抜けた。
その光景は実に非物理的で、周りから見れば驚かれる光景だが、周りの人も同じように全く意に返さない。
・・・・・・・・・・・
優一見えている私でさえ、その現象には特に驚かなかった。
あれは、幽霊だ。
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