始まりの鐘

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それを行かせまいと阻止する手。肩を掴まれてバグはあからさまにため息をつくと、しょうがなく足を止めて後ろを振り向いた。 「飯なら奢らねぇぞ」 それだけ言うと肩に乗っていた手を払って行こうとするが、相手はしつこく絡んできて今度は肩に腕を回してくる。 「固いこと言うなよバグ。いい店知ってんだ、連れてってやるから奢ってくれよー」 「行かねぇよ、奢らねぇよ。新婚はとっとと家に帰って嫁さんと乳くりあえよ。いつも仕事仕事じゃ嫁さんに嫌われるぜ?」 「ハッハッハ、嫁さんと乳くりあってる最中に度々呼びつけてるのはどこのどいつだったかな?」 「そりゃ悪かった。今日こそは一生懸命励んでくれたまえよ」 「悪いと思ってんなら奢れ!! 俺を労えこのやろう!!」 それからあしらってもあしらっても食いついて離れないレイノスに折れて、強引に連れて来られたのはレイノスがいつも贔屓にしているという大衆酒場。まだ酒で盛り上がるには早い時間にも関わらず店は賑わっていた。 「ここは飯も酒もうまいんだ」 そう言いながらレイノスにカウンター席に座らされ、勝手に注文も済まされてしまう。
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