第1話:終業式

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 グレートグリズリー撃破による報酬は、決して安いものではない。  撃破報酬は、素材にもなる魔物の一部を持ち帰る事で認証され、支払われるシステムとなっていた。  そして報酬額÷パーティメンバーの人数の金額が、それぞれのカードに記録されている。  グレートグリズリー撃破の報酬は六〇〇〇アウルムであり、以前ユート達が潰した盗賊団より遥かに高額なもので、三人で割っても二〇〇〇アウルムとなる。 「という事は、少しは装備も良く出来る訳か」  説明を受けて、ユートはカードを見つめていた。 「けど、わたし達はそれを授業で使えるの?」 「武装に関しては、飽く迄も個人の能力次第ですよ。能力有りと判断されたら、装備のランクも上げられますから」 「それって、ゲームなんかにある装備ランクとかみたいな感じ?」  ユートは前世でゲームもよくやっていたが、その中には一定以上のレベルにならなければ装備出来ない、或いは一定以上の筋力値が無いと──というシステムも在ったのだ。  例えば銅の剣=ランク三だとすれば、キャラクターのランクが三以下では装備が出来ない。  装備ランク三になって初めて装備可能となる。  勿論、この世界はゲームではない訳で、厳密なランクではなく試験などから得た情報を基にして、レベルを設定している訳だ。  マウ家の四男坊もレベルが低いにも拘わらず、必要以上にきらびやかな装備をしていて叱られていた。
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