第1話:終業式

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 リュナンはそう言うが、ユートには彼の力が全く以て判らない。  それは取りも直さずユートが彼……リュナンに実力に於いて遠く及ばない事を意味している。  まあ、筋肉隆々な事から腕力は有りそうだ。 「どうした、ボウズ?」 「いえ、リュナンさんの力が俺には判らないから……俺が未熟なのかなって」 「そうだろうな」 「うぐっ!」  ハッキリと言われ、息を呑んでしまうユートだが、それも仕方がないだろう。  駆け出しとさえ云えないユートはいまだに卵以前、リュナンは少なくともこの年齢まで生き延びた熟練の冒険者。  ユートにリュナンの底を見通せる筈もない。 「ガッカリする事も無い。姫さんが連れ回してんだ、将来性が在るんだろうよ」 「そうですよ、リュナンさんに敵わないのを恥じ入る事はありません。そもそも年季が違うんですから」  クリスが邪気の無い笑顔で心を抉ってくれる。  ユートはとっても泣きたい気分となった。 「んで、姫さんよ。今日はボウズ達の武器を見繕いに来たんだったな」 「はい。お願い出来ますかリュナンさん」 「フッ、任せな」  リュナンはカウンターから出て来ると、ユートをジロジロと見やる。 「あ、あのう……?」 「ふむ、良い肉体じゃ」 「い゙っ!?」  リュナンの怪しい言葉にユートは青褪めて引く。 「言っとくがの、そちらの気など無いからな?」  ユートの反応を見ると、胡乱な目付きで睨むリュナンであった。
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