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「というより、その引き斬る武器って存在してるんですか?」
「うむ……東の果てに在るという島国にはそれを造る技術があるらしいがの」
「東の果て……極東か」
やはりというか、日本に近い国は在るらしい。
「手には入りませんか?」
「噂でしかないし、どのくらいのリスクが有るとも知れんからな」
ハイリスク・ローリターンだ、これでは流石に無茶な事は言えなかった。
現代日本と違い、中世の世界に近いこのヴィオーラでは、造船技術も低いのだろうしそんな低い技術で造られた船で、東の果てまで行けというのは、寧ろ〝逝け〟と言うに等しい。
そして何より重要なのがこれもまた冒険の一種という事で、即ち自分達の領分だという事だ。
「当面、刀は諦めた方が良さそうですね」
「そうだな。新しく造ったこれ、使い勝手は良くないんだよなー」
クリスの言葉に嘆息し、鞘から抜いたのは両手剣の片側を削ぎ落として、刀の形を無理矢理に取らせている物だった。
本物の刀と比べてみて、いまいちな性能なこれでは溜息しか出ない。
以前、グレートグリズリーと戦った際、折れてしまった為に新造したのだが、そもそも鍛造品ですらない鋳造品で、切れ味も鈍い。
だけど、鞘共々細くなった刀身に併せた特注の品、クリスが急ぎ手配をしてくれた代物だった。
「ユート、これなんてどうかな」
シーナが持って来たのは所謂処の三又の矛、つまりトライデントと呼ばれている武器である。
「シーナさん、行き成りでそれは難しいかと。それなら槍から入った方が……」
「う~ん、そっかぁ」
納得したのか、トライデントを仕舞って槍の棚へと向かった。
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