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「そういえば、歴史とかは詳しくなかったな。昔、何があったんだ?」
ユートがクリスに訊ねてみる。
「少しお話しましょうか」
瞑目しながらクリスは、武姫や装主の歴史や存在の意義を語った。
曰く、装主(ロード)と云う存在とは武姫(プリンセリーナ)の力を引き出せる者の事。
その昔、最強たる武姫──神姫(クイーンティア)を揮いし装主は、天魔を降した後で自らの力に溺れて天魔王となり、世界を席巻したのだと伝えられる。
それ故に、世界には暗黒の歴史というものが生まれてしまった。
天魔王と神姫は強過ぎ、誰にも手は出せなかったが他の装主と武姫なら、まだ殺す事も出来る。
地球で云うなら魔女狩りと同じ事が起きた訳だ。
当然ながら、武姫狩りに於いて殺されたのは武姫達や装主達だけではない。
何の力も持たない人間さえ磔とされて火に炙られ、石持て逐われてしまう。
理由など些細なものだ。
アイツは自分よりも良い生活をしているから装主、アイツは自分より綺麗だから武姫に違いない。
そんな有り得ない密告により、何千何万もの人間が意味も無く処刑されていったのである。
もう何世紀も前の話だ。
当時は教会も混乱して、神の言葉に耳を傾ける巫女や覡祇が当時は居なかった事もあり、星神アーシアにも止め様がなかった。
本来、世界の調停者である装主とそのパートナーである武姫のシステムを破棄をして、それを教会に何とか伝えて暗黒時代に終止符を打つのが精一杯。
だが調停者を喪った世界は魔物の被害が弥増す。
調停者の役割は、魔素を間引いて魔物の顕現を抑える事にある。
その為の装主であり武姫だが、人々はそれを知らず捨て去ってしまった。
人間だけで新たな調停者を作るまで、魔物の被害は増える一方だったのだ。
尤もそれだけでは済まなかったのだが……
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