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「どうした、呼び出したりして。星神アーシア」
蒼い鎧を身に付け、赤で裏打ちされた白いマントを羽織った青年が、何処か荘厳なイメージのある建造物の中に立っている。
「久方ぶりだというのに、つれないですね蒼き騎士」
「称号などではなく、いつも名前で呼べと言っているだろう?」
星神アーシエル……通称アーシア、仮にも神に向かって不敬とも取れる態度で返すのは──
「そうでしたね。刻守クラン……いえ、今はクラン・トキモリと名乗っていましたか」
「どっちでも構わないさ。クランである事に変わりはないのだからな」
青年──クラン・トキモリは憮然と言い放つ。
「で、用事は何だ?」
「本当につれないですね。まあ良いでしょう。一つ目は新しい神徒、ユートについてです」
「オガタ……か」
クランが脳裏へと思い浮かべる姿は、未だに幼さの残る容貌をした黒髪黒瞳の少年。
「クス、今は学園ではないのですから名で呼べば良いのでは?」
「ほっとけ。一度、共闘したから判るが、器だけなら俺と同等だな。だが、まだ未熟よ」
「それは仕方がないわよ。一三歳なのだもの」
転生者だとはいえども、精神とは肉体に依存をする故に、どうしても肉体に引っ張られてしまうものだ。
元の年齢を鑑みれば精神は三三歳+一三歳で四六歳という、継続精神年齢的には中年と変わらないが……
「鍛えれば強くなるだろうがな、どうしてあんな半端な転生特典(ギフト)を与えたんだ?」
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