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「中途半端ですか。まあ、確かにそうですよね……」
クランの言い分はアーシアにもよく理解出来る。
強力過ぎ身体を壊す武器を与えておきながら、それを扱う為の強靭な肉体は与えないなど、片手落ちにも程があるのだから。
然しながら、アーシアにも言い分というものは在ったりするのだ。
ユートを転生させる際、彼自身が頑なにその手の力──転生特典(ギフト)を望まなかった。
本人は平々凡々、平和的に暮らすのに強大な力は要らないと考えて、アーシアから貰える力を──転生特典(ギフト)を断ってきたのだろう。
だから、已むを得ず神徒としての加護と、戦姫を揮う為の【装主】の資質を与えて転生をさせた。
望まない者へ無理矢理にギフトを与えたとて、魂にも肉体にも馴染まず却って危険であるし、外付けの武装ならそれも回避出来る。
初めから【武姫】の中でも最高峰たる【戦姫】を与える心算だったし、記憶が戻った際に彼女ら【戦姫】をギフトとして受け容れる為のイベントを用意するのが精一杯でもあった。
そう、ユートが記憶を取り戻した翌日に起きた豚人(オーク)の早期襲来、あれは星神たるアーシアが豚人(オーク)の思考を誘導し、襲わせたのだ。
力の必要性を実地で理解させる、その為だけに。
ユートが戦いに出たら、村へは行かない様にこちらも思考を誘導してある故、被害も出なかった。
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