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「神とはいえ、随分と都合よく操ってくれるものだ」
クランは不快感も露わに眉根を顰める。
「そのくらいしなければ、ユートはまともに動いてくれそうにありませんから」
「まあ、良いさ。で?」
「何です?」
「よもや、俺を呼んだのは新しい神徒の感想を聞く為だけじゃないだろうに」
本題に入れと責っ付く。
「本当につれない」
溜息を吐いた。
星神(ワールド・オーダー)と星騎士(ワールド・ガーディアン)──現実的な見方をするならば、謂わば上司と部下である。
だけど、人間の世界のそれとは少し趣きが異なり、星神が生粋の神であるのに対して、星騎士は人間そのものか人間上がりの神。
考え方には当然ながら、ある程度の齟齬が生じる事もある。
それ故に、星神が星騎士を気に掛けて仲良くしたいと考えてはいても、星騎士の方が星神を嫌う乃至は、避ける傾向にあった。
実際に、クランは殊更に彼女を嫌ってはいないが、やはり避けている。
意見が食い違う。
見解の相違。
心が在り、知恵を持つならそれは当たり前にある。
だが生まれ付いて神をしている星神アーシエルと、人間である星騎士は生まれと育ちが異なる事もあり、それが決定的な隔たりとなっていた。
「用事というのは他でもありませんが、貴方の捜している者が見付かりました」
「っ! なん……だって? それは本当か!」
クランは驚愕をし、目を見開いて食い付いた。
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