第1話:終業式

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 試験も終わりもうすぐ終業式。  クラス全員が仮免を残した侭で終業式を迎えるというのは、学院始まって以来の快挙だとか。  そういう意味で云えば、新任教師として赴任をしたクラン・トキモリの実績は上がった。  普通、新学院生の一学期に於ける仮免の保持率は、よくて五〇パーセントといった処。  そして、最悪では〇パーセントとなるものだ。  まあ、何の経験も知識も無い僅か一三歳か其処らの子供が、大人顔負けの冒険をするなど不可能に近い。  ユート達が最初の試験を潜り抜けたのも、実は数パーセントの快挙と言っても過言ではなかった。  それでもクラスの半分が抜けたのだから、クランの指導力の高さが窺える。  試験内容が至極、単純だという事もあるのだが……  その単純な試験であろう事か、上級者パーティでも苦戦するグレートグリズリーと戦う事など、有り得ないし話な上に、初心者丸出しのパーティで斃すなど、奇跡以外の何物でもない。  あれから試験を行う前は大した魔物が出ないと慢心せず一度、冒険者達や教師による山狩りを徹底する様にしていた。  その辺の采配はボーグマン学長の臨機応変な采配、そういった処だろう。  尤も、第二王女のクリスを試験で死なせたとあっては困る……という事情も見え隠れしている。  そんな大人の事情など、知らぬとばかりにクラスの全員が受かれていた。  やはり全員突破がその主たる原因であろう。  とはいえ、某・男爵の四男や取り巻きが居れば無かったのだろうが──
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