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────挑んだ相手が悪かったか。
俺はアッサリ奈央にやり込められた。
世間に俺の力をしらしめすには、このプロジェクトは重要なんだと。
だったら、自分達の結婚も利用しない手はないと。
全ては俺のためだと言われりゃ口ごもっちまうわけで……。
それでもと、仕事とプライベートを一緒にすんなっ!と小声で反論した俺は、
「最初に仕事と結婚を一緒にしたのは誰?」
……冷ややかに睨まれた。
そりゃ確かに、うちに就職するなら俺の秘書以外は認めないと公私混同したし、書かせた契約書は婚姻届だったけど……。
「でもイヤなんだよ! 結婚延期は勿論、世間に認めてもらうために奈央を利用するような真似、俺には出来ねぇ!」
今すぐ結婚したいからって理由だけで、駄々こねてる訳じゃない。
俺だけならともかく、奈央をマスコミに売るような気がして、それだけはどうしても納得できなかった。
「敬介?」
それまで冷ややかな視線ばかりを飛ばしていた奈央が、ふんわりと穏やかに笑った。
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