過去と未来とアイツと俺と《執筆中》

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「そう思ってくれる人だからよ？　私を何よりも大事に思ってくれる敬介だからこそ、私は少しでも力になりたい。敬介のためなら何でもする」

黙るしかなかった。

その覚悟に、笑みに、……
口を噤む以外出来なかった。

本当は奈央だって、率先して目立ちたい性分じゃないだろうに。

俺と水野家の一人娘が結婚するとなりゃ、大きな騒ぎになるに違いない。

芹沢家との関係も考えれば、それは当然で……。

しかも、教え子だった奈央を嫁にもらうとなりゃ、話題豊富なネタにマスコミは大袈裟なまでに食いついてくるだろう。

だからこそ俺は、わざわざ公表する気なんてなかったのに。

それでも、自分の結婚をマスコミに売ってまで、俺のことを最優先に考えてくれていると分かれば……

その愛情に、もどかしいながらも観念するしかなかった。