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強引にでも婚姻届を出していたら…… 後悔は日ごと募るのに、どうすることも出来ない現実。 今夜も、隣の男に微笑みながら、周りの奴らにも穏やかな顔で話す奈央を、遠くから見るしかなかった。 華やかなパーティーの中でさえ、奈央の美しさは際立っている。 そんな奈央を、やらしい目で見る男連中。 出来ることなら、ひとりひとりぶん殴ってやりたい衝動に駆られる。 やがて、俺の横を通り過ぎ、視線を僅かにしか合わせなかった奈央の後ろ姿を、俺は黙って見送った。 今の俺には、まともに目も合わせないんだな。 あの笑顔は、俺の一番近くにあるはずだったのに……。 他の男に見せんじゃねぇよ! 波立つ感情がどす黒さを持ち、とめどなく溢れ出てくるのをせき止められない。 「もういいだろ。俺は帰る」 呆れ顔の第一秘書に告げ、足早に会場を後にした。 無理だった。 奈央のあんな姿を見て、平然となんてしていられなかった。 車を呼び寄せ乗り込むと、ジャケットを脱ぎ捨て、携帯を取り出す。 “今夜、マンションに来い” 短いメールだけ打つと、すぐさま電源を落とす。 こんな夜は、一人でいたくはない。 奈央との思い出が詰まった、あんなだだっ広い部屋に一人では……。 そうすることでしか、この苛立ちを抑えられる術を俺は知らない。
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