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マンションに帰り着いて一時間。 ようやく来客の訪れを知らせるベルがなり、玄関のドアを開けて待つ。 エレベーターがたどり着くまでの僅かな時間でさえ、俺のイラつきを助長させ、エレベーターの真ん前まで足を運ばせた。 やがて扉が開き、立って待つ俺を見て眉をピクリと動かした女の腕を掴み歩くと、玄関へと押し込んだ。 「ちょっと……」 何か言いたげな女の言葉も待たずに、壁に体を押し付け強引に唇を奪う。 なんでだよ! なんで奈央は俺だけのものにならねぇんだよ! 唇を重ねながらも頭を支配するのは、パーティー会場で見た奈央のことばかり。 腕の中でもがく女を無視して重ねる唇から漏れるのは、この世でたった一人、愛して止まない女の名。 「……奈央」 「……んっ……ちょっ……」 「何でだよ……」 「……だから待っ───…」 「奈央……」 「…………いい加減にして!」 相手を一切無視した俺の暴走に、ついに痺れを切らしたのか、渾身のパンチが俺の鳩尾に食い込んだ。
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